精神科が母体である当院ですが、心を病んでいる患者様が身体の病から解放されるとは限りません。高齢社会を迎えた今、メタボリックシンドローム(内臓肥満を基礎として発症、高血糖、高脂血症、高血圧症などが存在する複合生活習慣病)をはじめ、肺炎・心疾患と患者様の合併症は多岐にわたっています。

それにともない精神科病院の「内科的治療」が重要性を増してきました。したがって当院でもCT・超音波検査・脈波図心機図検査(動脈硬化の程度が簡単にわかります)・DXAによる大腿骨、腰椎の骨密度検査・血液検査・迅速に測定可能な生化学機器などを導入して、早期に初期診断をつけることができるように努めています。必要であれば専門病院を受診していただく体制作りも行っています。

また、中心静脈栄養の管理・経鼻栄養・胃瘻からの経腸栄養の管理も可能です。当院では早くから栄養管理による疾病予防に力を入れてきましたが、さらに組織化して行っていくためにNSTを立ち上げて多職種での回診もなされています。

 

 当病院における身体疾患は多くの領域にわたっていますが、中でも多いのは糖尿病の合併症をもつ患者様です。
厚生労働省が行った糖尿病実態調査では、可能性を否定できない人を合わせると成人の約6人に1人は糖尿病といわれています。年々増加傾向にあることが社会問題化していますが、精神科病院でももちろん増加しており、実に入院患者さんの約1割に糖尿病の合併を認めています。また、糖尿病をもつ人は「うつ病」の発症頻度は2倍に増加するともいわれています。

精神症状が理由で身体疾患の治療を受けることが困難になっている患者様が、少しでもいい医療が受けられるようにこれからも努力していきたいと思っています。